坪内祐三が二〇〇五年四月三日から二〇〇六年四月二日まで、二〇〇六年一月一日および二月二六日の休載を除き、毎日新聞に毎週日曜日に連載した「日記から 50人、50の『その時』」全五十一回の各回表題は下記のごとくである。
- 夏目漱石──社会の変動を鋭く感知*1
- 三島由紀夫──「人間の裸の顔」という劇*2
- 青野季吉──快進撃の中のB25来襲*3
- 志賀直哉──「新人類」の不条理小説*4
- 野上弥生子──流血の惨事になった「お祭」*5
- 森田草平──老文学者が迷った末に····*6
- 高野悦子──変革の時代、真摯に走って*7
- 柳田国男──空襲下で書いた信仰論*8
- 中島健蔵──消息を絶った小林秀雄*9
- 山田風太郎──北へ西へ流離漂泊の旅*10
- 江藤淳──ハガティ事件にみた「醜さ」*11
- 木山捷平──遠く離れていった桜桃忌*12
- 阿部昭──自信失わせた「太陽の季節」*13
- 尾崎紅葉──大辞典を「冥土の土産」に*14
- 伊藤整──戦局への関心と「書き方」*15
- 大宅壮一──退学青年の「我々の時代」*16
- 浮谷東次郎──江の島にいた「60年の若者」*17
- 高見順──「日本の文学」をめぐる事件*18
- 森銑三──東京音頭をめぐる世代差*19
- 神谷美恵子──身近に触れた「時局の流れ」*20
- 大佛次郎──終戦直後の「皇軍」の混乱*21
- 竹内好──官業精神と初の「空の旅」*22
- 岸田劉生──震災の不安心理とデマ*23
- 内田魯庵──殉死への「当世風」の反応*24
- 山口瞳──戦中派の複雑な天皇観*25
- 武田百合子──最後の夏の不思議な記録*26
- 大岡昇平──「革命と反体制」への関心*27
- 吉野秀雄──東京五輪でテレビ漬けに*28
- 植草甚一──文化シーンに躍り出る*29
- 徳永康元──異郷で知る「戦局」の行方*30
- 石川啄木──上京に求めた「希望の影」*31
- 外村繁──私小説家のテレビ出演*32
- 黒田三郎──生活のため本を売る算段*33
- 内田百閒──「心の不安」と過去への態度*34
- 佐藤栄作──三島事件への複雑な感想*35
- 秋田雨雀──開戦に際会した反戦作家*36
- 笹川良一──巣鴨での日々と「義憤」*37
- 深代惇郎──レジスト青年の就職試験*38
- 木佐木勝──総合雑誌黄金時代の年末*39
- 古川ロッパ──ドサ廻りの旅先での正月*40
- 岡本綺堂──大震災後の余震と流言*41
- 遠藤周作──郊外への移住、そして散歩*42
- 小泉信三──カフェで飲んだ本格「珈琲」*43
- 中井英夫──虚無的「革命」の中の知識人*44
- 依田学海──帝国憲法発布の日の暗殺*45
- 野口冨士男──海軍病院の日常と硫黄島*46
- 永井荷風──浅草通いから「カツ丼」へ*47
- 添田知道──大空襲という「世紀の喜劇」*48
- 南方熊楠──神社統廃合が損なったもの*49
- 樋口一葉──文学青年から受けた刺激*50
- 荷風とロッパの「2・26」──連載を終えて*51