㉑『タイム・スリップの断崖で』

  • 絓秀実『タイム・スリップの断崖で』(書肆 子午線、2016年11月25日初版第1刷発行)
    装幀 濱崎浩司/写真 迫川尚子/ 写真集『日計ひばかり Shinjuku, day after day』(新宿書房)より
  • 2004年4月─6月
    リベラル・デモクラシーの共犯──鶴見俊輔の場合*1
  • 2004年7月─9月
    脱落するロウワーミドルクラスと2ch「ウヨ」共同体の誘惑*2
  • 2004年10月─12月
    デリダが亡くなった時、宮本顕治について考える*3
  • 2005年1月─3月
    マネー資本主義が眩惑するもの*4
  • 2005年4月─6月
    「革命無罪」から「愛国無罪」へ──「東風」計測の新・尺度──*5
  • 2005年7月─9月
    小泉総選挙勝利を準備した市民ならざる「市民」の正体*6
  • 2005年10月─12月
    下流社会」時代に、「女系天皇」システムが無際限に拡大させる新・「上流社会」*7
  • 2006年1月─3月
    フランス暴動ホリエモン早大キャンパス警官導入······。立場への決断を問わぬ「非決定」の陥穽に打開の道はあるか*8
  • 2006年4月─6月
    誰も反対しない「国民運動」=クール・ビズに露見する新しい警察国家の様式*9
  • 2006年7月─9月
    憲法九条擁護の切り札=「富田メモ」が生んだ天皇制をめぐる逆説的な状況*10
  • 2006年10月─12月
    「好景気」安倍ニッポンはなぜ「国家」を語るか──外交に爆弾を抱える日米のある共通点*11
  • 2007年1月─6月
    今、政治家に求められる「親バカ的弱さ」──都知事選石原圧勝が暗示する新・父権的国家論*12
  • 2007年7月─9月
    安倍辞任と朝青龍問題の共通点──「戦後レジームからの脱却」はアメリカンヘゲモニー崩壊の時しかない*13
  • 2007年10月─12月
    福田政権下の「政治」失調──全政党を包摂する「永久革命としての民主主義」を疑え*14
  • 2008年1月─3月
    「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」の白昼夢の中で永遠に「毒入り餃子」を食べ続ける資本主義的記憶喪失*15
  • 2008年4月─6月
    タバコ一箱一〇〇〇円の欺瞞──生きることを強制し死の権利を否定する統治のイデオロギー*16
  • 2008年7月─9月
    ふさわしくない政治指導者だけが選ばれる〈テレポリティクス〉という自家中毒*17
  • 2008年10月─12月
    左派よ、KY麻生の提起に乗じて、世界規模の「定額給付金」を主張すべきでないか*18
  • 2009年1月─3月
    「資本」に買収されていくルンプロ、小ブルのジレンマを打開する、唯物論と選択の是非*19
  • 2009年4月─6月
    国家と諸個人が直に接する「戦争状態」となった現代日本での、「戦争機械」の作動ぶり*20
  • 2009年7月─9月
    議会制民主主義における選挙は、偽装されたアイデンティティー・クライシスにほかならない*21
  • 2009年10月─12月
    個々の「実存」を賭すよう促す、不健全な民主主義時代における、反貧困運動〝転移〟の惧れ*22
  • 2010年1月─4月
    小沢=民主党政権が翼賛的「国民戦線」を目指す今こそ、左派は〝二十世紀の間違い〟を歴史的に問い直すべきである*23
  • 2010年5月─7月
    菅「市民派」政権が、中曽根・小泉を継いで、資本(=市民)による自由競争/新自由主義体制を完成させる*24
  • 2010年8月─11月
    公然化する貧者のナショナリズム──「政治」が消滅しつつある世界における、ニヒリズムの「戦争」への予感*25
  • 2010年12月─2011年4月
    アラブ革命という世界史的地殻変動を前に、終末論的な思考に依拠する無自覚な「反原発」、「戦後」の反復は通用しない*26
  • 2011年5月─7月
    気分に支配される政局──新自由主義者・孫は良くて菅はダメ。反原発運動で忘れられているのはネオリベ批判の契機だ*27
  • 2011年8月─12月
    原発と貧困はどうかかわるべきか──日本の「脱」原発新自由主義的な格差拡大としてあらわれてくるだろう*28
  • 2012年1月─4月
    橋下路線強力化のいま、地方地方の「脱」原発が普遍的な「正義」とならず、その総和が世界化しないことを、見極めよ*29
  • 2012年5月─7月
    〝資本主義社会の維持=民主主義〟という等式に囚われている限り、原発再稼動も消費税増税も粛々と進んでいく*30
  • 2012年8月─11月
    「野田やめろ」スローガンは、日米同盟堅持(=原発維持)へと反転し、安倍自民党政権への道をひらいたのではないか*31
  • 2012年12月─2013年4月
    原発運動と反貧困運動は、日本資本主義の回復ではなく、反資本主義を目指す運動として手を結ぶべきだったのだ*32
  • 2013年5月─7月
    ブラック企業批判へと転換した貧困問題は、「階級」消去装置の解除──「階級」を露呈させることで対抗するべきだ*33
  • 2013年8月─11月
    原発運動に、レイシズム問題。御用リベラルも保守派も大御心に待つ姿勢──重責を天皇に負わせる無責任さを改めよ*34
  • 2013年12月─2014年4月
    米中世界新秩序に対応しきれない我々は、戦争を待望しつつ中国経済に依存するという宙吊り状態を引き延ばそうとする*35
  • 2014年5月─7月
    集団的自衛権問題で露呈する、保守派=日米同盟破棄、リベラル左派=日米同盟堅持の奇妙さ*36
  • 2014年8月─11月
    没落の危機を感じているL型ミドルクラスは在特会レイシズムに助けを求めるしかないのか*37
  • 2014年12月─2015年4月
    イスラム国への理解放棄の現状は「承認」を旨としたヨーロッパ的普遍主義ゆえ。が、我々はそれ以外の知的パラダイムを持たない*38
  • 2015年5月─7月
    米国が「平和勢力」のいま、リベラルも左派も「反安保」を唱えることはない*39
  • 2015年8月─11月
    民主主義が問題化する今、明確な主張をもつ、新しい民主主義の具体的なイメージを描くことから始めるほかない*40
  • 戦後憲法は「正統」に成立したのか、民主主義が必須に内包する「革命」をめぐって──「あとがき」に代えて

「2011年8月─12月原発と貧困はどうかかわるべきか──日本の「脱」原発新自由主義的な格差拡大としてあらわれてくるだろう」の初出「en-taxi」Vol.34は2011年11月30日発行*41であるから下線部分を「2011年8月─11月」に訂正。自ずと「2012年1月─4月/橋下路線強力化のいま、地方地方の「脱」原発が普遍的な「正義」とならず、その総和が世界化しないことを、見極めよ」の下線部分は「2011年12月─2012年4月」に訂正。本書におけるこの誤認の一因は、編集者が「en-taxi」Vol.46別冊付録「『en-taxi』総目次」に依拠したからであろう。「『en-taxi』総目次」では「Vol.34 Winter 2012/二〇一一年十二月三十日発行」と誤記されているからである。
 奥付前の付記における「✻本書は文芸誌「en-taxi」(扶桑社)に二〇〇四年春号(Vol.5)から二〇一五年冬号(Vol.46)まで連載した時評に加筆、訂正を加えたものである。」の下線部分も「二〇一六年」に訂正。「Vol.46 Winter 2016」が正しいからである。この誤認も「『en-taxi』総目次」における「Vol.46 Winter 2015」という誤記が一因であろう。


『タイム・スリップの断崖で』書評

*1:en-taxi」Vol.6 SUMMER 2004(2004年6月28日発行)pp.140-143

*2:en-taxi」Vol.7 AUTUMN 2004(2004年9月30日発行)pp.134-137

*3:en-taxi」Vol.8 WINTER 2005(2004年12月27日発行)pp.130-133

*4:en-taxi」Vol.9 SPRING 2005(2005年3月29日発行)pp.146-149

*5:en-taxi」Vol.10 SUMMER 2005(2005年6月29日発行)pp.154-157

*6:en-taxi」Vol.11 AUTUMN 2005(2005年9月29日発行)pp.88-91

*7:en-taxi」Vol.12 WINTER 2006(2005年12月27日発行)pp.176-179

*8:en-taxi」Vol.13 SPRING 2006(2006年3月27日発行)pp.119-122

*9:en-taxi」Vol.14 SUMMER 2006(2006年6月29日発行)pp.156-157

*10:en-taxi」Vol.15 AUTUMN 2006(2006年9月29日発行)pp.123-124

*11:en-taxi」Vol.16 WINTER 2007(2006年12月27日発行)pp.144-145

*12:en-taxi」Vol.18 SUMMER 2007(2007年6月30日発行)pp.124-125

*13:en-taxi」Vol.19 AUTUMN 2007(2007年9月30日発行)pp.116-117

*14:en-taxi」Vol.20 WINTER 2008(2007年12月30日発行)pp.118-119

*15:en-taxi」Vol.21 SPRING 2008(2008年3月30日発行)pp.122-123

*16:en-taxi」Vol.22 SUMMER 2008(2008年6月30日発行)pp.122-123

*17:en-taxi」Vol.23 AUTUMN 2008(2008年9月30日発行)pp.106-107

*18:en-taxi」Vol.24 WINTER 2009(2008年12月30日発行)pp.158-159

*19:en-taxi」Vol.25 SPRING 2009(2009年3月30日発行)pp.132-133

*20:en-taxi」Vol.26 SUMMER 2009(2009年6月30日発行)pp.114-115

*21:en-taxi」Vol.27 AUTUMN 2009(2009年9月30日発行)pp.166-167

*22:en-taxi」Vol.28 WINTER 2010(2009年12月25日発行)pp.144-145

*23:en-taxi」Vol.29 SPRING 2010(2010年4月20日発行)pp.170-172

*24:en-taxi」Vol.30 SUMMER 2010(2010年7月25日発行)pp.176-178

*25:en-taxi」Vol.31 WINTER 2011(2010年11月20日発行)pp.154-156

*26:en-taxi」Vol.32 SPRING 2011(2011年4月26日発行)pp.156-158

*27:en-taxi」Vol.33 SUMMER 2011(2011年7月30日発行)pp.180-182

*28:en-taxi」Vol.34 WINTER 2012(2011年11月30日発行)pp.167-169

*29:en-taxi」Vol.35 SPRING 2012(2012年4月20日発行)pp.160-162

*30:en-taxi」Vol.36 SUMMER 2012(2012年7月20日発行)pp.156-158

*31:en-taxi」Vol.37 WINTER 2013(2012年11月25日発行)pp.202-204

*32:en-taxi」Vol.38 SPRING 2013(2013年4月23日発行)pp.207-209

*33:en-taxi」Vol.39 SUMMER 2013(2013年7月25日発行)pp.172-174

*34:en-taxi」Vol.40 WINTER 2014(2013年11月21日発行)pp.175-177

*35:en-taxi」Vol.41 SPRING 2014(2014年4月23日発行)pp.199-201

*36:en-taxi」Vol.42 SUMMER 2014(2014年7月24日発行)pp.174-176

*37:en-taxi」Vol.43 WINTER 2015(2014年11月26日発行)pp.191-193

*38:en-taxi」Vol.44 SPRING 2015(2015年4月25日発行)pp.185-187

*39:en-taxi」Vol.45 SUMMER 2015(2015年7月25日発行)pp.181-183

*40:en-taxi」Vol.46 WINTER 2016(2015年11月26日発行)pp.221-223

*41:当時の「en-taxi」編集人・田中陽子氏のTweetによれば2011年11月24日発売