1997年から1999年にかけて講談社より刊行された週刊YEAR BOOK『日録20世紀』の1997年2月18日発行通巻1号から1997年12月23日発行通巻42号まで、坪内祐三が各号に2篇ずつ全42回(全84篇)連載した「証言・あの日この日」は、著名人(主に著述家)の著作(主に日記)から証言を引いて若干の説明を加える短いコラム(1篇約355字)です。2005年から2006年にかけて毎日新聞に連載した「日記から」と同様、単行本には未収録です。1997年12月30日発行通巻43号以降の「証言・あの日この日」は山崎行太郎が執筆しています。坪内祐三が執筆した各回内容(証言者・当時の年齢・証言の日付・引用文献)は下記のごとくです。
- 蓮實重彥(24)/6月15日(水)「自筆年譜」
- 浮谷東次郎(18)/7月27日(水)『オートバイと初恋と』
- 外村繁(58)/4月21日(金)『阿佐ケ谷日記』
- 山下清(39)/6月9日(金)『ヨーロッパぶらりぶらり』
- 開高健(32)/10月2日(水)『ずばり東京』
- 野上彌生子(78)/11月2日(土)『野上彌生子日記』
- 五木寛之(34)/1月10日(火)『日記』
- 矢部貞治(64)/2月11日(土)『矢部貞治日記』
坪内祐三と福田和也が『昭和 二万日の全記録』について以下のように発言しているのを引き写しておきます。
平成と改まって早や十年。もうすぐ二十世紀も終ります。『昭和 二万日の全記録』全十九巻(講談社)と『20世紀の歴史』全十九巻(平凡社)はどちらも、とても質の高いシリーズ物です。これを機に、一家に一セット揃えても損はありません。
❝坪内祐三/家でこもる人の本10冊(「週刊文春」1998年4月30日・5月7日号)❞
福田 やっぱり昭和はカラフルで、いろんなことがあったからね。特に戦前はすごかったから。講談社から出てる『昭和二万日の全記録』(昭和全2万2660日を、日録ドキュメント形式で記載している。全19巻)。なかなかいい本ですよ。今、全部で1万8000円くらいで安いでしょ。
坪内 あの本は最高ですよ。オレも若者に、買え買えって言ってる。編纂 されたのは、昭和が終わったときでね。その後20世紀が終わるときには『週刊20世紀』とか、いろんな似たような企画本が出たんだけど、全然クオリティが違うんだよ。本当にすごいよ、と20年くらい前から言ってるんだけど、誰も聞いてくれなくてさ。
❝文壇アウトローズの世相放談「これでいいのだ!」VOL.320/平成も20年を超え、心配なのは天皇・皇后両陛下の健康問題だ(「SPA!」2008年12月30日・2009年1月6日号、『無礼講──酒気帯び時評55選』)❞
坪内 何かが終わって、何かが始まった年なんだよ。昭和が終わったときに、講談社から出た『昭和二万日の全記録』全19巻ってあるでしょう。暇な時にずっとあれを眺めていて、1972年ってコンクな年だな、と思ったのが、この年に注目したきっかけなんだけどね。
福田 『昭和二万日の全記録』はすごくいいよね。
坪内 図版もあって資料的価値が高いでしょ。しかも古本で1冊500円ぐらいだよ。
福田 ワタクシも、学生に「全部買え、見つけ次第すぐ買え」と言ってるよ。
❝文壇アウトローズの世相放談「これでいいのだ!」VOL.464/「あれから1年」もたつけれど「あれから40年」も結構すごい(「SPA!」2012年3月20日号、『不謹慎──酒気帯び時評50選』)❞