(45)右であれ左であれ、思想はネットでは伝わらない。

右であれ左であれ、思想はネットでは伝わらない。

  • 坪内祐三みぎであれひだりであれ、思想しそうはネットでは伝わらない。』、幻戯書房、二〇一八年一月十五日第一刷発行
    装丁 細野綾子

第1章 戦後論壇の巨人たち
この章について
福田恆存──「保守反動」と呼ばれた正論家*1
田中美知太郎──歴史の真実を語ろうとした人*2
小林秀雄──ものそのものと出会う*3
林達夫──「書かない人」になったわけ*4
大宅壮一──彼が「無思想人」を宣言した時*5
三島由紀夫──「文化防衞論」という一つの謎*6
小泉信三──フェアプレー精神について*7
花田清輝──元祖「楕円的思考」の人*8
唐木順三──型の喪失とそれに代るもの*9
竹山道雄──ひっそりとした情熱家*10
中野好夫──頑固なお調子者*11
橋川文三──後ろを見つめたまま前へ進む*12
河上徹太郎──懐しさの由来する所*13
中野重治──皮膚感覚と正確さ*14
鮎川信夫──単独者の思想*15
竹内好間──違え方において正直な人*16
桑原武夫──モラリストの二重性*17
宮崎市定──現実を眺める歴史家の眼差し*18
葦津珍彦──筋の通った人*19
清水幾太郎──その独特の語りかけ*20
羽仁五郎──「子供みたい」は最高のほめ言葉*21
臼井吉見──編集者ならではのバランス感覚*22
山本七平──岡チャンの愛読書*23
丸山眞男──「孤独」な「進歩派」の「自己内対話」*24


第2章 文藝春秋をつくった人びと
この章について
菊池寛──「非凡の人」の新しさ*25

  • 小林秀雄菊池寛
  • 創刊号の定価は十銭
  • スピード出世への反感
  • 忸怩たる思い
  • 読者に誌上で収支報告
  • 関東大震災が大転機
  • 出版不景気のなか一人勝ち
  • 苦労人で現実主義者
  • 六分の慰楽、四分の学芸

佐々木茂索──文春を救った人*26

  • 菊池寛との違い
  • 「まだこゝでは述べたくない」
  • 新進作家としての芥川に兄事
  • 編集室の空気が一変
  • なぜ筆を折ったのか

池島信平──雑誌記者の魂*27

  • 本来の文春
  • 太宰、清張と同い年
  • 第一回入社試験
  • 満州に飛ばされる
  • 病床の「雑誌好き」
  • ぼかされた経歴
  • リベラリストのトラウマ


第3章 滝田樗陰のいた時代
この章について
サヨナラ「中央公論*28

  • リアルな噂
  • 中央公論」を手にとるとき
  • 名編集者・滝田樗陰
  • 豪華な連載陣
  • 時代を彩る編集者たち
  • 思いがけない一本の電話

木佐木勝──日記の「完本」と「原本」を読み比べる*29

  • 政治学的に必読、文学史的にも貴重
  • 初公開「原本」の驚き
  • 近頃大馬鹿チヨインが······

滝田樗陰──大正のスーパー・エディター*30

  • 杉森久英の『滝田樗陰』
  • 『木佐木日記』と滝田樗陰
  • 中央公論』編集部に入るまで
  • 「説苑」欄の伝統
  • 中公編集者のプライド


第4章 ラディカル・マイノリティの系譜
この章について
アメリカと「左翼」の照応*31
エリアー・カザン──裏切り者と呼ばれて*32
ドワイト・マクドナルド──コンサヴァティブなアナキスト*33
スーザン・ソンタグ──ラディカルな意志のスタイル*34
ハンター・トンプソン──ラディカル左翼な「ならず者ゴンゾー*35
鶴見俊輔氏に聞く──アメリカ左翼知識人の孤独でフェアな表象*36

  • 右と左のイデオロギーより隠れてほの見える「身振り」を
  • キリスト教共産主義の矛盾。さらに深くある苦しみ
  • 「リベラル」をめぐる日米土壌のずれ。態度の相違
  • 「左翼」を超えて依拠すべきもの。米国に収斂される日本


第5章 「戦後」の終わり
文春的なものと朝日的なもの*37

  • 文春と朝日の対立構造
  • ユーモアのなくなった保守派
  • 一九七七年東大発表特集号
  • もう一人の「あの人」
  • 『諸君!』が変わった後

「戦後八十年」はないだろう*38

  • 「戦後三十年」のエポック
  • 戦争の痕跡が消えた頃
  • 昭和天皇の顔が······
  • 原節子と戦争映画
  • 「戦後」はいつ終わるか?

歴史の物差しのひとつとして*39

  • 戦後二十年のころ
  • 七〇年代の空気
  • 一九七九年というポイント
  • 二十年周期で変わる東京
  • 戦後五十年と七十年の違い
  • 後づけの解釈を回避せよ


あとがき
初出一覧
関連年表
索引

  • 人名索引
  • 作品名索引
  • 紙誌名索引
  • 事項索引

*1:『諸君!』一九九六年七月号

*2:『諸君!』一九九六年八月号

*3:『諸君!』一九九六年九月号

*4:『諸君!』一九九六年十月号

*5:『諸君!』一九九六年十一月号

*6:『諸君!』一九九六年十二月号

*7:『諸君!』一九九七年一月号

*8:『諸君!』一九九七年二月号

*9:『諸君!』一九九七年三月号

*10:『諸君!』一九九七年四月号

*11:『諸君!』一九九七年五月号

*12:『諸君!』一九九七年六月号

*13:『諸君!』一九九七年七月号

*14:『諸君!』一九九七年八月号

*15:『諸君!』一九九七年九月号

*16:『諸君!』一九九七年十月号

*17:『諸君!』一九九七年十一月号

*18:『諸君!』一九九七年十二月号

*19:『諸君!』一九九八年一月号

*20:『諸君!』一九九八年二月号

*21:『諸君!』一九九八年三月号

*22:『諸君!』一九九八年四月号

*23:『諸君!』一九九八年五月号

*24:『諸君!』一九九八年六月号

*25:文藝春秋』二〇〇七年二月号

*26:文藝春秋』二〇〇八年一月号

*27:文藝春秋』二〇〇九年二月号

*28:(「ぐあんばれ『中央公論』」改題)=『諸君!』一九九七年七月号

*29:中央公論』二〇一七年一月号

*30:夏の文学教室(二〇一七年八月一日)での講演に加筆修正

*31:en-taxi』二〇〇三年十二月

*32:en-taxi』二〇〇三年十二月

*33:en-taxi』二〇〇三年十二月

*34:en-taxi』二〇〇三年十二月

*35:en-taxi』二〇〇三年十二月

*36:en-taxi』二〇〇三年十二月

*37:新潮45』二〇一四年十二月号

*38:新潮45』二〇一五年十二月号

*39:(「戦後八十年はもうないかもしれない──歴史の物差しのひとつとして」改題/インタビュー構成・橋本倫史)=『en-taxi』二〇一五年七月