浅田彰/スキャンダラスな午後

(『マリ・クレール』掲載)

浅田 「スーパーエディター」こと安原顕が死んだね。肺癌で余命一ヵ月と告知されたことを公表して、最後までネット上で日記を書いたりしてた。彼らしい死に方だったと思うよ。僕は、彼が中央公論社の出してた「海」っていう異色の文芸誌にいたときから付き合いがあって、「マリ・クレール」に異動させられてから「スキャンダラスな午後」っていう訳のわからないタイトルで音楽エッセーの連載を頼まれた、それが僕が音楽について書き始めたきっかけなんだよね。そしたら同時に田中さんの「たまらなく、アーベイン」っていう連載も始まってた。田中さんの連載はあとで本にまとまったけど、僕は怠惰だからほったらかしたまま。安原顕が生きてるあいだに本にしとけばよかったと思うよ。
連載 第7回「続・憂国呆談」番外編Webスペシャル浅田彰 田中康夫『「ニッポン解散」 続・憂国呆談』)❞

*1:ここでの議論は、ひとつのモットーを掲げるのに終始するだろう。No hay caminos, hay que caminar──「道はない、歩かねばならぬ」。あるいはむしろ「道はない、歩きさえすればよい」。これがそのモットーである」(王寺賢太「No hay caminos, hay que caminar──日本の「第三の道」への疑問」、『情況別冊』「思想理論編」第1号)