『奇妙な廃墟』月報

福田和也の第一作である国書刊行会版『奇妙な廃墟』の月報に担当編集者・佐々木秀一執筆と思われる「編集部より」が掲載されている。

■シリーズ〈1945:もうひとつのフランス〉第五回配本別巻をおおくりいたします。
■初めて会った福田君は(彼は大学の後輩なのです、そして「君」と呼びたい気分なのです)まだ大学院の学生さんで、そのわりには、なりたてとはいえ社会人のはしくれである私からみても、ずいぶんと世なれした若者でした。といっても「世間ズレした」というのとも違う、なんというか、ゆきとどいた柔軟な人物、という印象でした。こんなことを思い出したのは、この著作の圧巻は何か、と考えていたからで、私見によるなら、それは目のさめるようなその「飛躍」にほかなりません。しからばそのエランを支えているのはといえば、それは著者の「人間智」のような気がするのです。反ヒューマニズムを論じた人間の「人間」智なんて冗談じゃないよ、と言われそうですが、このパラドックスが理解できない人はこんな本読んでもしょうがないよ、などと憎まれ口叩いたりして。とまれ、爾来七年、ありがとう福田君!
■次回はブラジヤック『七彩』の予定です。乞御期待!