「昨日は今日の物語り」という掌編小説の登場人物を「私小説的読み方に堕して」原型を推測すると。
作中名 | 実名 |
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中矢宇凶郎 | 中谷宇吉郎 |
某学者 | 羽仁五郎 |
中条ひろ子 | 宮本百合子 |
片口安吉 | 中野重治 |
中河真之助 | 中川善之助 |
村正黒鳥 | 正宗白鳥 |
大津順吉 | 志賀直哉 |
津島修 | 太宰治 |
逆口鮟鱇 | 坂口安吾 |
小田策之介 | 織田作之助 |
森不味子 | 林芙美子 |
鍋井萎 | 壺井栄 |
「進歩的・民主的」ないし「人生派」ないし「庶民的」と目されていた中谷宇吉郎や羽仁五郎や林芙美子や壺井栄が、『文化展望』(≒『文化宇宙』)編集者であった大西巨人(≒大津太郎)の常識的な寄稿依頼に対し、非礼な返信ないし無視をした、一方「老大家」ないし「デカダン派」ないし「無頼派」と目されていた中川善之助や正宗白鳥や志賀直哉や太宰治や坂口安吾や織田作之助は、「個々の私人間の関係を支配するべき道義および公正の単純な諸法則」を全うした、立派な応対であった、と推定できよう。