(23)「近代日本文学」の誕生

「近代日本文学」の誕生―百年前の文壇を読む (PHP新書)

  • 坪内祐三『「近代日本文学」の誕生 百年前の文壇を読む』、PHP研究所PHP新書421〕、二〇〇六年十月三十日第一版第一刷
    装幀者──芦沢泰偉+児崎雅淑

明治三十二(一八九九)年 「金色夜叉」のブーム──若き文豪尾崎紅葉
七月 「金色夜叉」連載を中断し、若き文豪は一人旅に出る*1
八月 荻生徂徠にならい、「文壇炒豆」をかじる内田魯庵*2
九月 無名作家田山花袋、最大手の出版社博文館に入館する*3
十月 二十一歳の永井壮吉、荷風の名で、文壇にデビューす*4
十一月 「東京児」の幸田露伴が口にする「一国の首都」論*5
十二月 泉鏡花の悲恋と師・紅葉と『湯島詣』*6


明治三十三(一九〇〇)年 新たな浪漫主義の興り──與謝野鐵幹『明星』創刊
一月 小倉に左遷された「鷗外漁史とは誰ぞ」*7
二月 毎日新聞記者木下尚江、足尾鉱毒問題の取材ヘ*8
三月 徳冨蘆花の自伝小説「おもひ出の記」連載開始*9
四月 與謝野鐵幹、『明星』を創刊する*10
五月 奇人・原抱一庵の「聖人乎盗賊乎」連載開始*11
六月 皮肉屋・斎藤緑雨の文壇保護奨励法*12
七月 まぼろし文人淡島寒月の小説「馬加物語」*13
八月 幸徳秋水の「非戦争主義」、『萬朝報』に載る*14
九月 五高教授夏目金之助、ロンドンに旅立つ*15
十月 無名作家国木田独歩の描いた東京の「郊外」*16
十一月 押川春浪の『海底軍艦』出帆する*17
十二月 雑誌『明星』が風俗壊乱で発禁となる*18


明治三十四(一九〇一)年 「個人主義」への転向──高山樗牛「美的生活」
一月 新聞『日本』で正岡子規の連載随筆「墨汁一滴」始まる*19
二月 福沢諭吉の旧稿「丁丑公論」発表される*20
三月 作者不詳の怪文書『文壇照魔鏡』現わる*21
四月 中江兆民、余命「一年有半」を宣告される*22
五月 広津柳浪の幻の長篇小説、一挙掲載(?)される*23
六月 名編集者大橋乙羽の死*24
七月 言文一致論議のブーム再びおこる*25
八月 高山樗牛が「美的生活」を論ずる*26
九月 川上眉山の『ふところ日記』が単行本化される*27
十月 薄田泣菫の第二詩集『ゆく春』が刊行される*28
十一月 岡倉天心、インドに向けて旅立つ*29
十二月 気鋭の文学者上田敏、矢継ぎ早に著書を刊行する*30


明治三十五(一九〇二)年 海外に向かう文学者たち──島村抱月「洋行」
一月 宮崎滔天の自叙伝「三十三年之夢」二六新報で連載始まる*31
二月 『新小説』の名編集長後藤宙外の文芸コラム「時文」*32
三月 島村抱月が「洋行」に向かう*33
四月 紅葉の最後の「金色夜叉」の連載が始まる*34
五月 二葉亭四迷が「股間政策」実現のため大陸に旅立つ*35
六月 博文館の大橋図書館が開館する*36
七月 矢野龍溪社会主義啓蒙小説『新社会』刊行される*37
八月 長谷川天溪の自然主義*38
九月 山田美妙の熱情戦話『あぎなるど』刊行される*39
十月 文武堂版の北村透谷全集刊行される*40
十一月 石川啄木、盛岡中学を退学し上京する*41
十二月 「教科書疑獄事件」が発覚する*42


明治三十六(一九〇三)年 思想のための死──藤村操「巌頭之感」
一月 石橋思案が『文藝倶楽部』の編集長に復帰する*43
二月 徳冨蘆花、兄蘇峰と「告別」する*44
三月 小泉八雲、文科大学を解雇される*45
四月 尾崎紅葉が愛弟子泉鏡花と芸者桃太郎の仲を割く*46
五月 一高生藤村操「巌頭之感」を残し自殺する*47
六月 エミール・ゾラが本格的に紹介される*48
七月 二葉亭四迷が北京をあとに帰国する*49
八月 児玉花外の幻の詩集が印刷される*50
九月 五代目尾上菊五郎に続いて九代目市川団十郎が亡くなる*51
十月 内村鑑三幸徳秋水ら萬朝報を退社する*52
十一月 明治大文豪尾崎紅葉逝く*53
十二月 幸徳秋水世田谷ボロ市探訪*54


明治三十七(一九〇四)年 自然主義の萌芽──田山花袋「露骨なる描写」
一月 大阪朝日新聞で「天声人語」が始まる*55
二月 田山花袋が「露骨なる描写」を発表する*56
三月 「二六新報」の秋山定輔が「露探」事件に巻き込まれる*57
四月 「萬朝報」に斎藤緑雨自作の死亡広告が掲載される*58
五月 佐藤儀助(義亮)が『新潮』を創刊する*59
六月 内田魯庵の非戦論が『太陽』に載る*60
七月 『文藝倶楽部』が増刊「勝いくさ」号を出す*61
八月 與謝野晶子の反戦詩「君死にたまふこと勿れ」が『明星』に載る*62
九月 『破戒』を執筆中の島崎藤村が『藤村詩集』を刊行する*63
十月 東京帝国大生の瀧田樗陰が『中央公論』の編集記者となる*64
十一月 岡倉天心の英文の評論『日本の目覚め』がアメリカで刊行される*65
十二月 読売新聞でXYという署名の連載「文科大学学生々活」が始まる*66


明治三十八(一九〇五)年 日露戦争と新しい文学──夏目漱石吾輩は猫である
一月 夏目漱石の「吾輩は猫である」の連載が『ホトトギス』で始まる*67
二月 反骨の文士田岡嶺雲が雑誌『天鼓』を創刊する*68
三月 明治の女子大生亡国論が『中央公論』に掲載される*69
四月 『破戒』を完成させるために島崎藤村が小諸から上京する*70
五月 石川啄木の処女詩集『あこがれ』が刊行される*71
六月 大阪朝日で不遇の二葉亭四迷内田魯庵の『復活』の翻訳に協力する*72
七月 雑誌『文庫』で小島烏水の(?)連載「明治文学史材」が始まる*73
八月 日露戦争勝利後の文学への漱石の期待*74
九月 島村抱月が三年半の欧州留学を終えて帰国する*75
十月 上田敏の訳詩集『海潮音』が刊行される*76
十一月 『中央公論』の「文芸」欄に露伴の「付焼刃」と漱石の「薤露行」が載る*77
十二月 『文藝倶楽部』の「雑誌」欄に永井荷風の「市俄古の二日」が掲載される*78


明治三十九(一九〇六)年 自然主義の開花と漱石そして二葉亭の復活
一月 島村抱月が『早稲田文学』を復刊する*79
二月 饗庭篁村の最後の新聞小説『不問語』が刊行される*80
三月 島崎藤村が『破戒』を自費出版する*81
四月 『ホトトギス』の附録として漱石の「坊っちゃん」が世に出る*82
五月 伊良子清白『孔雀船』と薄田泣菫『白羊宮』が刊行される*83
六月 徳冨蘆花トルストイのもとへ「順礼」に訪れる*84
七月 『文藝倶楽部』編集主任の石橋思案が「本町誌」の連載開始*85
八月 国木田独歩が独歩社を設立する*86
九月 「草枕」で夏目漱石が新しい小説の宣言を行なう*87
十月 二葉亭四迷の二十年振りの小説「其面影」が連載される*88

*1:文學界』一九九九年八月号

*2:文學界』一九九九年九月号

*3:文學界』一九九九年十月号

*4:文學界』一九九九年十一月号

*5:文學界』一九九九年十二月号

*6:文學界』二〇〇〇年一月号

*7:文學界』二〇〇〇年二月号

*8:文學界』二〇〇〇年三月号

*9:文學界』二〇〇〇年四月号

*10:文學界』二〇〇〇年五月号

*11:文學界』二〇〇〇年六月号

*12:文學界』二〇〇〇年七月号

*13:文學界』二〇〇〇年八月号

*14:文學界』二〇〇〇年九月号

*15:文學界』二〇〇〇年十月号

*16:文學界』二〇〇〇年十一月号

*17:文學界』二〇〇〇年十二月号

*18:文學界』二〇〇一年一月号

*19:文學界』二〇〇一年二月号

*20:文學界』二〇〇一年三月号

*21:文學界』二〇〇一年四月号

*22:文學界』二〇〇一年五月号

*23:文學界』二〇〇一年六月号

*24:文學界』二〇〇一年七月号

*25:文學界』二〇〇一年八月号

*26:文學界』二〇〇一年九月号

*27:文學界』二〇〇一年十月号

*28:文學界』二〇〇一年十一月号

*29:文學界』二〇〇一年十二月号

*30:文學界』二〇〇二年一月号

*31:文學界』二〇〇二年二月号

*32:文學界』二〇〇二年三月号

*33:文學界』二〇〇二年四月号

*34:文學界』二〇〇二年五月号

*35:文學界』二〇〇二年六月号

*36:文學界』二〇〇二年七月号

*37:文學界』二〇〇二年八月号

*38:文學界』二〇〇二年九月号

*39:文學界』二〇〇二年十月号

*40:文學界』二〇〇二年十一月号

*41:文學界』二〇〇二年十二月号

*42:文學界』二〇〇三年一月号

*43:文學界』二〇〇三年二月号

*44:文學界』二〇〇三年三月号

*45:文學界』二〇〇三年四月号

*46:文學界』二〇〇三年五月号

*47:文學界』二〇〇三年六月号

*48:文學界』二〇〇三年七月号

*49:文學界』二〇〇三年八月号

*50:文學界』二〇〇三年九月号

*51:文學界』二〇〇三年十月号

*52:文學界』二〇〇三年十一月号

*53:文學界』二〇〇三年十二月号

*54:文學界』二〇〇四年一月号

*55:文學界』二〇〇四年二月号

*56:文學界』二〇〇四年三月号

*57:文學界』二〇〇四年四月号

*58:文學界』二〇〇四年五月号

*59:文學界』二〇〇四年六月号

*60:文學界』二〇〇四年七月号

*61:文學界』二〇〇四年八月号

*62:文學界』二〇〇四年九月号

*63:文學界』二〇〇四年十月号

*64:文學界』二〇〇四年十一月号

*65:文學界』二〇〇四年十二月号

*66:文學界』二〇〇五年一月号

*67:文學界』二〇〇五年二月号

*68:文學界』二〇〇五年三月号

*69:文學界』二〇〇五年四月号

*70:文學界』二〇〇五年五月号

*71:文學界』二〇〇五年六月号

*72:文學界』二〇〇五年七月号

*73:文學界』二〇〇五年八月号

*74:文學界』二〇〇五年九月号

*75:文學界』二〇〇五年十月号

*76:文學界』二〇〇五年十一月号

*77:書き下ろし

*78:書き下ろし

*79:書き下ろし

*80:書き下ろし

*81:書き下ろし

*82:書き下ろし

*83:書き下ろし

*84:書き下ろし

*85:書き下ろし

*86:書き下ろし

*87:書き下ろし

*88:書き下ろし