⑰『1968年』

まえがき


第一章 先進国の同時多発的現象

1 現代は六八年に規定された時代である

  • それが提起した課題
  • TVが世界に発信する「豊かさのなかの革命」
  • 石原慎太郎の登場とスターリン批判──六八年の前史(1)
  • ナショナリズムと六〇年安保──六八年の前史(2)
  • 歴史的文脈──六八年の前史(3)
  • 切断されないリベラリズム──六八年の前史(4)
  • 五五年体制とはなにか──六八年の前史(5)
  • 民主か独裁か──六八年の前史(6)

2 資本主義の脱構築的な力に依拠する六八年


第二章 無党派市民運動と学生革命

1 ソ連の「平和共存」路線とベ平連

2 米軍脱走兵を援ける三島由紀夫の「友人」

3 「市民社会の衰退」のなかの革命

  • なぜ「共労党」なのか
  • 平和共存から毛沢東主義
  • 「ただの市民」と全共闘
  • 「市民」の条件
  • 「平滑空間」の変容
  • 学生消費者主義へ


第三章 「華青闘告発」とはなにか

1 マイノリティーによる対抗運動の登場

  • 入管闘争という課題
  • 善隣学生会館における新左翼との共闘
  • 入管闘争の展開
  • われらの「内なる」差別
  • 華青闘告発の要旨
  • 日中国交回復という問題

2 マイノリティー運動がかかえる難問

  • 日本人という「主体」
  • 入管から狭山へ


第四章 ヴァーチャルな世界のリアルな誕生

1 右翼と左翼の奇妙なコラボレーション──太田竜から村上春樹

  • 言語論的転回から「偽史」へ
  • 実践への志向
  • 偽史」の系譜
  • ポスト六八年の偽史運動
  • 偽史的想像力から爆弾闘争へ
  • 「主体」の転換
  • 六〇年代の「異端」趣味をこえて
  • 歴史から虚構へ
  • 三島由紀夫と「正史」

2 偽史的想像力のもう一つの源流──吉本隆明中野重治


第五章 内ゲバ連合赤軍事件/革命

1 リンクする華青闘告発と内ゲバの「論理」

  • 無際限の殺人の始まり
  • フェミニズム運動の登場
  • 七・七から「リブ」へ
  • 内ゲバ」の背景
  • 偶発的殺人の必然性

2 レーニン主義の廃墟とグラムシ主義の廃墟


あとがき
関連年表


『1968年』書評

  • 無署名「無題」(「朝日新聞」2006年10月22日朝刊)
  • 奥泉光「文芸3点」(「朝日新聞」2006年10月24日夕刊)
  • 中島一夫「いつのまにか染みそれは広がっている」(「文學界」2006年12月号)
  • 宮下志朗「右翼、左翼の腐れ縁も随所に描かれる」(「論座」2006年12月号)
  • 竹内洋「無題」(「読売新聞」2006年11月19日朝刊)
  • 松本圭二「「詩人くん」と「おカバちゃん」」(「d/sign」no.14)