(13)まぼろしの大阪

まぼろしの大阪

  • 坪内祐三まぼろしの大阪』、ぴあ、二〇〇四年十月十日初版発行
    [編集]安藤善隆 仲本有希子
    [装丁・本文デザイン]橘浩貴
    [写真]後藤麻由香

まぼろしの大阪*1


週末の例の﹅﹅スポーツイベントを見てきた
大阪球場にあった「なんばん古書街」
OMMの古本祭りで買い逃してしまった本
五十万分の一の二乗の確率
大阪で上映された『東京暗黒街 竹の家』
阪急百貨店の大食堂に行き逃してしまった
扇町公園の持つ地霊
キャバレー・メトロについて知りたい
アメリカ村はいつも夏
ふたたび「キャバレー・メトロ」のこと
モダニズムを生きる女性』展は観に行くぞ
大阪人は数字に正確
例の展覧会の最終日に間に合った
さよなら西宮スダジアム?


対談 谷沢永一×坪内祐三*2


鍋井克之の『大阪繁盛記』
いわゆる「通り庭」はまだ残っているのだろうか
宇野浩二の名著『大阪』のこと
恵方巻」東京進出の仕掛け人
鶴屋團十郎の芸風について
寺島珠雄の『釜ヶ崎 旅の宿りの長いまち』を新刊本屋で見つけた
寺島珠雄を読んでいたら青木雄二の漫画を思い出した
カツカレーの〝台抜き〟も存在するのだろうか
いつのまにか今年のタイガースを応援している
昔買った本を整理していたら見つけた一冊
昭和三十三年のホークスはあと一本﹅﹅で優勝を逃した
藤澤桓夫の回想する大阪の古本屋
中村よおの旧刊を新刊で買って読んだ
大阪には美人が少ないと菊池寛は言った
優勝あとの阪神の消化ゲームを早く目にしたい
六歳の記憶と十三歳の記憶
生島遼一のエッセイ集が六冊本棚に並んだ
まばろしの「おんごく」
一九六〇年十月六日に起きた大事件を知っていますか
一九六八年の『大阪の味』にコロペットが紹介されていた
『大阪の味』と『エンタクシー』の時を超えた一節
「十・七」の甲子園のあのセレモニーを生で見た
甲子園球場の居心地の良さについて


対談 森村泰昌×坪内祐三*3

  • 大阪の焼き肉文化
  • パサージュからモールへ
  • 鶴橋という町の変化
  • 大阪がイメージさせる色


小野十三郎の大阪
小野十三郎モダニストならではの視線
今でも「自由軒」にシャトウブリアンはあるのだろうか
バイリンガルを目指して「会話集」を買ってしまった
Aさんから送られてきた本のお歳暮
生まれて初めて関西で歌舞伎を観た
自由軒のメニューにカツカレーがあった気がする
大阪読売ジャイアンツの誕生を期待していたのに
イキ君、今度は「ひしや」の糸切餅を、よろしくね
講談社文芸文庫の新刊で織田作の「大阪論」を読んだ
織田作は実は古いタイプの人?
水了軒の滊車辨が好き 
明治の大阪の悪徳タクシーについて
五月六日の梅田の地下街にはいつものようにゴミ箱が並んでいた
念願の「なんばグランド花月」を初体験してきた
戦前に吉本興業から出ていた「ある雑誌」のこと
雑誌『ヨシモト』の復刻版、古書価格が三万円でも買いだね
表神保町にあった神田・花月


あとがき

初出『ぴあ関西版』二〇〇二年七月十五日号~二〇〇四年八月九日号

*1:書き下し

*2:語り下し

*3:語り下し

雑誌メモ

文藝春秋』2月号「人声天語」(188)/「平成という時代の終わりに」

週刊文春』1月17日号「文庫本を狙え!」(1010)/安西水丸『東京美女散歩』(講談社文庫)

東京美女散歩 (講談社文庫)

週刊文春』1月24日号「文庫本を狙え!」(1011)/高田文夫『ご笑納下さい 私だけが知っている金言・笑言・名言録』(新潮文庫

ご笑納下さい: 私だけが知っている金言・笑言・名言録 (新潮文庫)

(12)一九七二

一九七二―「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」

  • 坪内祐三一九七二いちきゆうななに 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』、文藝春秋、平成十五年四月二十五日第一刷
    装幀 有山達也
    タイトル版画 葛西絵里香
    協力 立花文穂

「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」 一九七二 (文春文庫)

  • 坪内祐三一九七二いちきゆうななに 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』、文春文庫、2006年4月10日第1刷
    協力 立花文穂
    カバー・鶴丈二

一九七二 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」 (文春学藝ライブラリー)

  • 坪内祐三一九七二いちきゅうななに 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』、文春学藝ライブラリー、2020年(令和2年)12月10日第1刷発行
    協力 立花文穂
    DTP制作 エヴリ・シンク
    「本書は文春文庫版を底本としています。」

第一回 なぜ、この年なのか*1
第二回 ポルノ解禁前夜*2
第三回 日活ロマンポルノ摘発される*3
第四回 ストリップショーと「四畳半襖の下張*4
第五回 連合赤軍事件と性意識*5
第六回 赤軍派と革命左派の女性観の違い*6
第七回 それは「水筒問題」からはじまった*7
第八回 永田洋子の期待と失望*8
第九回 遠山美枝子のしていた指輪*9
第十回 榛名ベースでの新党結成と意識の落差*10
第十一回 南沙織が紅白に初出場した夜に*11
第十二回 二人の「兵士」の二十数年ぶりの「帰還」*12
第十三回 十四歳の少年が大盛堂書店の地下で目にしたもの*13
第十四回 奥崎謙三の『ヤマザキ天皇を撃て!』*14
第十五回 札幌オリンピックニクソンの中国訪問*15
第十六回 テレビの画面が映す出していったもの*16
第十七回 坂口弘が「あさま山荘」のテレビで目にしたショッキングな光景*17
第十八回 「あさま山荘」の制圧とCCRの来日コンサート*18
第十九回 箱根アフロディーテとフジ・ロック・フェスの間に*19
第二十回 雷雨の後楽園球場でのグランド・ファンク・レイルロード*20
第二十一回 「はっぴいえんど」の松本隆青年のイラ立ち*21
第二十二回 頭脳警察の「うた」を必要とした若者たち*22
第二十三回 キャロルとロキシー・ミュージックが交差した瞬間*23
第二十四回 若者音楽がビッグビジネスとなって行く*24
第二十五回 ローリング・ストーンズの「幻の初来日」*25
第二十六回 TVメディアが作る新たなアイドルの登場*26
第二十七回 「危険な十四歳」と「子供を殺す母親」たち*27
第二十八回 金曜日夜八時の「日本プロレス」中継終了と『太陽にほえろ!』の放映の開始*28
第二十九回 『ぴあ』の創刊と情報誌的世界の登場*29
第三十回 『ぴあ』の「帝国主義的」拡大路線への転換と混乱*30
第三十一回 「大相撲ダイジェスト」と山陽新幹線*31
第三十二回 田中角栄が「今太閤」として支持されていた頃*32
最終回 二〇〇二年十月に読む『世界』一九七二年十二月号*33


あとがき
解説 時代格闘家・坪内祐三 泉麻人(文春文庫版・文春学藝ライブラリー版)

*1:「諸君!」二〇〇〇年二月号

*2:「諸君!」二〇〇〇年三月号

*3:「諸君!」二〇〇〇年四月号

*4:「諸君!」二〇〇〇年五月号

*5:「諸君!」二〇〇〇年六月号

*6:「諸君!」二〇〇〇年七月号

*7:「諸君!」二〇〇〇年八月号

*8:「諸君!」二〇〇〇年九月号

*9:「諸君!」二〇〇〇年十月号

*10:「諸君!」二〇〇〇年十一月号

*11:「諸君!」二〇〇〇年十二月号

*12:「諸君!」二〇〇一年一月号

*13:「諸君!」二〇〇一年四月号

*14:「諸君!」二〇〇一年五月号

*15:「諸君!」二〇〇一年六月号

*16:「諸君!」二〇〇一年七月号

*17:「諸君!」二〇〇一年八月号

*18:「諸君!」二〇〇一年九月号

*19:「諸君!」二〇〇一年十月号

*20:「諸君!」二〇〇一年十一月号

*21:「諸君!」二〇〇一年十二月号

*22:「諸君!」二〇〇二年一月号

*23:「諸君!」二〇〇二年二月号

*24:「諸君!」二〇〇二年三月号

*25:「諸君!」二〇〇二年四月号

*26:「諸君!」二〇〇二年五月号

*27:「諸君!」二〇〇二年六月号

*28:「諸君!」二〇〇二年七月号

*29:「諸君!」二〇〇二年八月号

*30:「諸君!」二〇〇二年九月号

*31:「諸君!」二〇〇二年十月号

*32:「諸君!」二〇〇二年十一月号

*33:「諸君!」二〇〇二年十二月号

坪内祐三「この文章がすごい!」「この文章に学べ!」

坪内祐三さんが選んだベスト5

雲の影・貧乏の説 幸田露伴 講談社文芸文庫 講談社
私の岩波物語 山本夏彦 単行本 文藝春秋
青山二郎の眼 別冊太陽 平凡社
日本の言論界はなぜ喧嘩がないのか 安原顯 別冊宝島EX 達人の論争術 宝島社
飯沢匡三木鶏郎春山行夫死亡記事 朝日新聞10月11日夕刊 朝日新聞社
  • 誰がこんなもの···という分野を徹底してマニアックに追求する*2

坪内祐三さんが選んだベスト5

人生解毒波止場 根本敬 洋泉社
芸術の慰安夫──赤瀬川原平の冒険(展評) 嵐山光三郎 美術手帖』4月号
日本プロレス全史 ベースボール・マガジン社 同社刊
大瀧詠一 Song Book Ⅱ 大瀧詠一 ビクター
古書目録 9 月の輪書林
  • トゲが混じることで追悼がみごとに完結。追悼号当たり年の傑作から*3

坪内祐三さんが選んだベスト5

長井勝一追悼特集 『ガロ』3月号、4月号、『コミックボックス』5月号 青林堂ふゅーじょんぷろだくと
山口瞳追悼特集 サントリー クォータリー』51号(1996年4月発行) サントリー株式会社
『回想の澁澤龍彥
澁澤龍彥を語る』
澁澤龍彥全集」委員会編
巌谷國士種村季弘出口裕弘、松山俊太郎
河出書房新社
河出書房新社
洲之内徹という男」 『ARE』No.6号(1996年8月20日発行) ARE PRESS
淡島寒月没後七十年」 彷書月刊』5月号 弘隆社
  • 発信者と受信者が明確なリアリティを共有したときに優れた表現が*4

坪内祐三さんの選んだ2つの文章

ネストル・セルパの手紙 朝日新聞4月29日
酒鬼薔薇聖斗の犯行声明 各紙
  • 成熟する時期を迎えてしまえば書ける人はどうしたって書ける*5
翻訳家が神々であった時代 宮田昇 本の雑誌


『新潮』1999年2月号*6の「読書大アンケート 私のベスト3」で坪内祐三が挙げているのは宮田昇「翻訳家が神々であった時代」、大村彦次郎「中間小説物語」、大崎正二「雑木林のなかで」の三作で、「九八年にはじまった雑誌連載の中から三作選びました。三作共、私が最近の文学作品から感じ取ることの出来ないを、私に、与えてくれました。」とコメントしている。

*1:『鳩よ!』1995年1月号10頁、「この文章がすごい! 94年ベスト80」

*2:『鳩よ!』1996年1月号21頁、「この文章に学べ! 95年ベスト80」

*3:『鳩よ!』1997年1月号6頁、「この文章に学べ! 96年ベスト84」

*4:『鳩よ!』1998年1月号7頁、「この文章に学べ! 97年ベスト100」

*5:『鳩よ!』1999年1月号6頁、「この文章に学べ! 98年ベスト100」

*6:https://web.archive.org/web/20061009161748/https://www.shinchosha.co.jp/shincho/9902/mokuji.html

雑誌メモ

週刊文春』12月20日号「文庫本を狙え!」(1008)/山田花子自殺直前日記 改』(鉄人文庫)

自殺直前日記 改 (鉄人文庫)

週刊文春』12月27日号「文庫本を狙え!」(1009)/草森紳一『随筆 本が崩れる』(中公文庫)

随筆-本が崩れる (中公文庫)

週刊ポスト』1月1・4日号「この人に訊け!新年スペシャル/平成の記憶」/坪内祐三「平成文学史中上健次谷崎賞を逃がして決定的に変わった」─浦田憲治『未完の平成文学史 文芸記者が見た文壇30年』(早川書房

https://www.news-postseven.com/archives/20181227_831583.html?PAGE=1#container
https://www.news-postseven.com/archives/20181227_831583.html?PAGE=2#container

雑誌メモ

文藝春秋』1月号「人声天語」(187)/「桜田大臣は「現代の病」と無縁なんだ」

週刊文春』11月22日号「文庫本を狙え!」(1005)/ホーフマンスタール『チャンドス卿の手紙/アンドレアス』(光文社古典新訳文庫

チャンドス卿の手紙/アンドレアス (光文社古典新訳文庫)

週刊文春』11月29日号「文庫本を狙え!」(1006)/吉田隆『紀州ドン・ファン殺害 「真犯人」の正体 ゴーストライターが見た全真相』(講談社+α文庫)

紀州のドン・ファン殺害 「真犯人」の正体 ゴーストライターが見た全真相 (講談社+α文庫)

週刊文春』12月6日号「文庫本を狙え!」(1007)/御厨貴 牧原出編『聞き書 野中広務回顧録』(岩波現代文庫

聞き書 野中広務回顧録 (岩波現代文庫)

サンデー毎日』12月16日号「泉麻人の昭和サブカルチャー50年史 第13回 プロレス戦国時代/ゲスト 亀和田武坪内祐三「「4の字固め」をかけ合った放課後」

呉智英「ネットのバカ 現実のバカ」

週刊ポスト』誌上の「ネットのバカ 現実リアルのバカ」は呉智英中川淳一郎による交互リレー連載で、呉智英の連載が「現実リアルのバカ」、中川淳一郎の連載が「ネットのバカ」ということのようである。2016年2月5日号に呉智英中川淳一郎の「新連載記念対談 「いま一番のバカを決めよう!」」*1が掲載されており、2018年9月21・28日号に同じく対談「安倍好きのバカvs安倍ぎらいのバカ」*2が掲載されている。2017年12月8日号には、「現実リアルのバカ」を休載して、「〈真実の名古屋論〉 タモリも『週刊ポスト』も毒された「名古屋ぎらい」の正体」*3が掲載されている。これは『真実の名古屋論 トンデモ名古屋論を撃つ』が2017年11月にベスト新書から再刊されたことを記念してのようである。2018年9月7日号の「現実リアルのバカ」が特別拡大版であるのは、この連載の第100回までをまとめて各回に補論を付した『日本衆愚社会』(小学館新書)の刊行を記念してのようである。その後、連載の第102回から最終回までをまとめて各回に補論を付した『バカに唾をかけろ』(小学館新書)が刊行されている。

小谷野敦が「凍雲篩雪(80)『黒い雨』と『重松日記』」(『出版ニュース』2018年9月下旬号)で次のように書いていた。

 世間では私は呉智英の影響を受けた者のように思われているようだが、確かに若いころに心酔したようなところはあったが、佐々木譲の『警官の血』に珍妙ないちゃもんをつけたあたりから、呉智英はおかしくなっているし、政治的立場は何だか曖昧だし、単なる言葉の間違いをあげつらうだけの人になっていると思う。

かつて、小谷野敦は『バカのための読書術』で呉智英の著書を薦めていて、双葉文庫に10冊以上入っていたが、現在では全て長期品切れないし絶版になっているようである。